an odd fellow

仕事のメモ

泥流地帯を呼んだ

今月北海道の富良野に旅行に行くので、ゆかりのある本を、と思って三浦綾子の泥流地帯を呼んだ。

泥流地帯 (新潮文庫)

泥流地帯 (新潮文庫)

最後の最後の章まで、上富良野のひとびとは日常に非日常が入り混じる、毎日の生活ってやつを濃ゆい人間ドラマを編みながら暮らしているんですよ。幼なじみの女の子が借金を作った親父のために売られたとか、14年帰ってこなかった母親が明日帰ってくるとか、貧しさからくる卑しさなど全く感じない徳の高い祖父から人としての在り方を学ぶ主人公とか、幼なじみが売られていった家の女の子が主人公に突然好きだと言うとか、そういうやつ。それが最後の、ほんとに最後の章で全部泥に流される。それまで主人公は学校の先生とはかくあるべきだとか告白してきた節子のこととか自身の生徒のこととかを真剣に考えていた。考えてて、その最中、轟音からの濁流からの死体探し。やられた。もう、それまであったこと全部、どっかに吹っ飛んで、苦手な気持ちがあった叔父と抱き合って生きてることを泣いて、他の家族の死体を探す。探して見つけて燃やして、死んだと思った兄が生きてて、幸い未だ帰ってきてない母親を、「うんと大事にするべ」と言い合って終わる。

津波が押し寄せるって話なんだけど、否応無く福島を思い出させた。遠い長野の地だと自身の影響なんてほんとちっぽけで別の世界のことって感じだったんだけど、きっとかの大震災もこうだったんだろうなと、やっと、これは人事じゃないような、そんな気がした

追記

イマイチ地図を見てもどこからどこへ山津波が起こったのかわからなくて、調べてたらいいページを見つけた。

www.nhk.or.jp

十勝岳の方からふた手に別れて流れたのか、それで流れたあとが川になったの?でも今見ると美瑛の方はまっすぐ伸びる綺麗な道になってる。あと、ここに青い池あるんだ、Mac の壁紙になったやつ。この池、人工池らしいですね。泥流地帯の山津波は硫黄を含んでたから復興も大変だったと、下のページに書いてありました。それで、この人工池でそういう流れ出るとまずいものをせきとめるようです。なるほど〜。

『泥流地帯』と父のこと

あとこのへん衛生写真で見ると土石流防止のブロックみたいなのが置いてあるように見える。なるほどなあ。

地理勉強したくなりますネH

追記

かみふらの文学散歩と健康散歩 その1

面白い、そうかあ、文学散歩かあ、こういう企画があるのか