an odd fellow

仕事のメモ

霧 ウラル

霧 ウラル

毎日 30 分読書する時間取るようにしたらいいペースで本が読めてる!借り物の本を読んだ後は積んであった桜木紫乃の新作を読んだ。毎度のことながら桜木小説はお腹が痛くなる。今回は戦後すぐの根室の話だった。桜木小説は根室から釧路あたりのお話がおおい(とおもう)。ウラル、どんな感想を思えばいいのか、よくわからない。今回は 3 姉妹の話だった。ラブレスは姉妹でしたね。男女も姉妹の関係もひらすらに上手くいかないという話は一緒かな、と思うけれど、そうだなあ、ラブレスの百合江は諸行無常を受け入れて"流されて生きる"ことを良しとするのに対して、ウラルの珠生はもっと人間臭さが残っていて、理不尽を悲しむ人だったのに、だんだん意図的に心を殺すことを覚えていくっていう、重い、重かった。桜木小説良い。読み終えたあとのスッキリしない重鎮感が癖になる。

ここまで書いてから読書メータの他人の感想を讀む。

やっぱ「悲しい」「切ない」とか「複雑」とかでなんかうまく言葉にできないんだよなあ。どう表現したらよいのか、本当にわかんないけど、すごい引き込まれるんだよなあ。他の小説で体験できないリアルな人間関係とか、そこで起こるギクシャクとか、たまらんのよな…。

ううん、女性の逞しさについて言及する人もいるんだけれど、珠生の生き方を逞しい、と表現するのはなんだか…。弱いひとじゃないか、とおもう。それをなんとか奮い立たせて、惚れた男のため、そしてもはやなんのためなのかもわからなくなってるなか、相羽珠生を演じる珠生のその生き方に賛成もできないけれど嫌な生き方ではないし、そういうもんかな、とかなんか納得するっていう。ううん。うまく言えん。

追記

調べてたら直木賞とるまえのラブレス書いたあとのインタビュー記事を見つけた

www.webdoku.jp

ここでこう言ってる

アラン・ドロンの映画『愛人関係』を観て、物語の最後はこうでなきゃ、と思いました。ミレーユ・ダルクと弁護士役のアラン・ドロンが冬のニースの展望台に行くんですけれど、最後に銃声がこだましてエンドロールとなるんです。小説でやるとハードボイルドになりそうですけれど、いつか書きたいですね。

これを書いたわけですな…。

あとこれ。

www.youtube.com

担当者からこういうの書いて欲しい!ってくることがあるんだ。インタビューの最後の「女の一生は惚れた男で決まる」っていうのが、なんか切ないなあと思った。