an odd fellow

仕事のメモ

カメラを教わることにした

バイト先の近くにある割烹屋は平日の昼間はランチ営業をしている。 きちんとした割烹着を召した気の難しい爺さんが、600 円と手頃な価格でたいへん美味しい日替わり定食を提供してくれる。 箸の持ち方が悪いと指摘してきそうな人で(実際指摘されたことはないけどカウンターで食べるときにちらちら視線を感じるので箸の持ち方をなおした)、 でも量も多くて、何より店の内装が純和風で素敵なので最近気に入って通っていたら、 奥さんの方が「わたし趣味がカメラなのよ」と話かけてくるので「ぼくもカメラやりますよ」と言ったら 「実はカメラの先生に教わっている。あなたも来なさい。みんな年寄りで若い人が来たら嬉しい」というので出かけて行ったら、 カメラの先生なる人は本物の写真家で全国的な有名人で、長野の写真コミュニティを草分けし、現在も各会の会長や理事長を兼任しているという強い人で候。

取り急ぎ写友会なる会合が行われるので是非と言われて出向くと、既におぢさん達が7,8人緊張した面持ちで座していた。 なんだこの雰囲気はと思っていると'カメラの先生'が開口一番「お前らみたいなクソはクソみたいな写真しかとれない」と切り出した。 それから小1時間ほどいかに自身がしょうもない存在で何の努力もしていないということを思い知らされるたいへんありがたい説教を受け、ほとほと疲れて、 話も一段落したので、たいへんなところにきてしまったさぁさぁ適当な理由をでっちあげてトンズラだと帰り支度をはじめると、 'カメラの先生'が「では、写真を見る。出せ」と言いおぢさん達が自分の写真を並べ始めて、帰るタイミングを逃してしまったなあと眺めていると、 'カメラの先生'は一枚一枚じろじろと眺めてはクソだクソだと言いながらそのクソな写真(確かに僕が見てもあまり上手くは見えなかった)を、 いかにこの写真がクソであるかを的確に指摘し裏返していく。 あまりに的確な指摘であるので、あいやこの先生は本物の先生であったかと思い直した。 たまに、お、これは、という写真に関しては先生も「これは、いいな」と言って裏返さない。おぢさんが小さくガッツポーズをするのを見て、こういう縮図であったかと理解した。

おぢさん達の写真が終わったあと、お前のも見るというのでフリッカーの写真を見せたら、「あいつら(おぢさん達)と違ってディジタルネイティブで、ディジタルをよくわかっているので、真面目にやればあいつらよりよっぽど上手くなる」と仰られた。 伊勢神宮新嘗祭の写真がよかったらしく、これはいい、コンテストに出せば何か賞がとれただろう、人がこっちを向いてたらな、ケツから人間を撮るやつにロクなやつはいない、とコメントを頂いた。 f:id:roronya:20131123070015j:plain

α7にオールドレンズで写真をやっていると言うと、「おれもそうだ。マウント遊びが楽しいよな」ってめっちゃ笑顔でそういうので、ああ、立派なカメラオタクだと安心した。

写友会を取り仕切るおぢさんのひとりが、今度は一緒に先生の家に行こうと言うので行ってきた。毎週金曜日は教えを乞うために通っているらしい。写真を持っていけば30枚千円からコメントをいただけるということだった。夜の 9 時頃出向いて開放されたのは 午前 3 時だった。先生は喋りだすと一生喋るのかというくらい喋るので帰るタイミングを逃す。

帰り際に、「まぁ、また来なさい」と仰られた。「また来ます」と言って出てきた。

で、言われたことを言われた通りにやってみると「稀にできるちょっと見れる写真」っていうのを撮れる率があがった。100枚に1枚くらいできるのだけど、100枚撮ったら2枚くらい見れる。

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